社会にうずまく悪や欲望、苦痛や悩みなどがすべてとりはらわれた理想社会―喜怒哀楽の感情が抑制され、職業が与えられ、長老会で管理されている規律正しい社会―「記憶を受けつぐ者」に選ばれた少年ジョーナスが暮らすコミュニティーは、ユートピアのはずだった。けれども、理想の裏に隠された無味乾燥な社会の落とし穴に「記憶を伝える者」とジョーナスが気づいたとき、そこに暮らす人々が失っている人間の尊厳にまつわる記憶の再生を計ろうとする。二度のニューベリー賞受賞に輝くロイス・ローリーが贈る、衝撃的近未来ファンタジー。1993年度ニューベリー賞受賞。