20世紀アメリカの最も偉大な語り部が、冷徹な筆致と壮大なスケールで描く父と子、家族、そして人間の自由の物語。時は19世紀末。厳しくも雄大な自然に囲まれた開拓地カリフォルニア州サリーナスは、限りない希望を胸に抱く人々で溢れていた。その一人、厳格な父の命で心ならずも参加した戦争に疲弊した男アダム・トラスク。美女キャシーとの結婚にみずからの幸せを見出したアダムは、妻と生まれてくる子供のために永遠の楽園を建設しようと決意し、農夫にして鍛冶屋、天才発明家でもあるサミュエル・ハミルトンに手助けを求めた。だが、キャシーを一目見たサミュエルは、彼女の冷たい眼差しと奇怪な振る舞いに気づき、その得体のしれない邪悪の影に身震いするのだった―アメリカ文学史上に燦然と輝くノーベル賞作家畢生の大作が新訳で登場。